折込チラシの歴史

新聞折込チラシの原型は、その昔「引き札(ひきふだ)」と呼ばれた今のチラシ広告に相当する広告媒体が誕生した時代まで遡ります。
この引き札は、1683(天和3)年に日本橋駿河町に開店した越後屋(現在の三越)が配布した「呉服物現金安値無掛値」が始まりと言われ、 その数およそ5万〜8万枚を当時の江戸市中全戸に配布したとされています。
このような戸別配布のほかに、街頭配布、行商しながらの配布、買い物客へ商品に添えての配布など当時から現代と変わらない様々な配布方法がありました。

折込広告が制度化される以前の明治前期にはその前身として「新聞附録」が存在していました。新聞の附録として配布され、今の号外や特別編集物、 またはおまけ広告特集に相当し、当時次々に創刊される新聞の読者獲得や広告収入による経営の一助として始まりました。

新聞にチラシが本格的に折込まれるようになったのは、大正時代になってからです。
明治時代後期に誕生した新聞販売店の存在が大きく関係していると言われており、この時期を境に、 引き札の呼び名は京阪地区での呼称「チラシ」として全国的に使われるようになりました。

このように、江戸時代に生まれた引き札は、大正時代からチラシと呼ばれ、新聞販売店制度の確立と時を同じくして、 新聞と共に配布されることとなり、現在の折込チラシへと繋がっています。